S氏の相場観:いずれ訪れる国債の暴落

 2010/12/21(火)
 

米国のQE2(金融緩和策)を見切れなかった為に、国内の銀行が米国債で巨額の損失を出してしまったのですが、その穴埋めとして売られたのが日本国債で、11月の売り越し額だけで2.8兆円にも達しました。これにより日本国債は下落し、10年国債利回りは1.2%ほどまで下落となってしまいました。

国の借金が1000兆円になろうと恐れるに足らず、日本の財政は依然として健全である!というエセエコノミストも居ますが、僅か2.8兆円の売り越しでこんなにも金利が上昇してしまうのです。米のQE2が更に継続していくのですし、他にも銀行が損失を被ってしまうケースは今後も出てくる事でしょう。そして、損失が出る度に利益の出せる日本国債は売られ続けるのです。

さて、日本の税収ですが、今年度は40兆円をも下回っている状況でありました。来年度は景気が多少なりと回復し、もしかしたら50兆円以上あがったりするかも知れませんが、それが倍以上の80兆円を超えるなどという事はないでしょう。それに対して国家予算が90兆円を超えているのですから、これはもう、景気がどうとかいうレベルを遙かに超えた愚行であることは、ちょっと説明すれば小学生でも分かるレベルの話でありましょう。

そして、国債の発行額ですが、銀行が満期を迎えた分は常に買い換えなさいという事になっているので、その買い換えの分は新規の発行に含まれておらず、一見すると赤字分は40兆円分ぐらいか?という風に見えるのですが、実は毎年100兆円を超える額の国債が発行されている訳です。そして、積み上がった国債などを合計すると、国の借金は1000兆円を超えているという事になり、単純に1%の利払いが発生したとして、その額は何と10兆円であります。今の金利が1.2%だとすると、もちろんこれは12兆円の利払いとなるのです。

そして、問題はここからです。銀行や生保にさらなる損失が発生し、更に国債が売られたとします。金利は他国並みの4%まで上昇下としましょう。そうなると利払いだけで40兆円という事になりますが、更に問題なのは借金は増え続けている状態であり、後何年もしない内に1000兆円の借金は、1200兆円にもなってしまう事でしょう。さあ、その利払いは可能でしょうか?

常識的に考えれば、というか、特別考えなくてもそれは無理だと言う事は分かるはずで、選挙前の民主党員も分かっていたはずの事なのです。だからこそ私も民主党を応援しましたし、多くの国民もそうしたのでしょう。しかし、結果は見てのとおりであり、本当にがっかりしっぱなしであります。

さて、国はどういう舵取りをするのでしょうか?インフレはもはや時間の問題というか、既にインフレは始まっており、もはやこれを止める事は出来ません。庶民がインフレを感じるのも時間の問題で、今でもデフレなどという事をいうエコノミストが居るのが信じられませんが、とにかくインフレであるという認識を持たないと大変な事になってしまうでしょう。

この様な状況であるのですが、インフレを潰すために金利を上げれば、借金大国日本はあっという間に利払いによって破綻してしまいますので、利上げはデフォルトを意味しているといっても過言ではありません。しかし、利上げをしなければ物価は高騰し続ける事になりますので、現金の価値は間違いなく下がり続ける事になるでしょう。

前門の虎、後門の狼とは正にこのことで、どちらにしても助からないのです。ただ、時間と共に狼も虎も増えていきますので、さっさと脱出すれば被害は少なく済むでしょう。ここでいう脱出とは、デフォルトの事で、助かる人というのは働ける人のことを言います。時間と共に歳をとって、体力が衰え働けなくなる人が増えます。デフォルトとは、貯金や年金の消失を表しているのですから、出来るだけ早くにそうした選択をすれば、まだ助かる人が多くなるはずなのです。団塊世代が身動きが取れないところまで歳をとって、どうにもならなくなってからのデフォルトよりは、一日も早いデフォルトの方が良いに決まっているのです。

どうせ1000兆円にも膨らんだ借金は返せる訳がないのですし、返すとするならば借金をした人たちであり、これから生まれてくる新しい世代ではないのです。自分たちの行いは、自分たちで決着を付け、潔く死んでいきたいものです。

ただ、これは、あくまでも単に預貯金だけで何とかなると考えている人たちの話であり、しっかりと防衛策をとれば、単にデフォルトで終わりという事にはならないでしょう。知恵を絞れば死なずに済むでしょうし、立て直しも出来るでしょう。日本人の気質から考えると、貯金をやめて・・・とか、生保をやめて・・・というのは、非常に怖い事かも知れませんが、今は間違いなく行動すべき時でしょう。分からなければいつでも門を叩いてください。出来る限りの知恵は貸していきたいと思います。(執筆者:S氏<日本株第1号、カリスマブロガー>)