①世界経済  ・世界景気は、11 年前半にかけて先進国では景気対策の押し上げ効果の減退や、循環
的な動きの弱まりによって緩やかな成長にとどまると見込まれる。一方で、新興国は
内需の拡大等により堅調さを維持し、世界景気を下支えすると予想される。 
・米国経済は、11 年前半にかけて不動産価格の低迷による景気抑制圧力が続く中、景
気対策の息切れ、在庫の増加ペース鈍化により減速し、潜在成長率である前期比年率
+2.5%を下回る成長が見込まれる。 
・ユーロ圏経済は、10 年 10-12 月期以降ユーロ安等によってプラス成長は続けるもの
の、金融問題への対応の遅れによる信用収縮、一部の国での緊縮財政等が景気回復の
障害となり、緩やかな拡大にとどまると見込まれる。 
・アジア経済は、10 年 10-12 月期以降世界景気の回復ペース減速を受け、拡大ペース
は鈍化するものの、雇用・所得の増加などによる内需拡大を背景に、中国、インド主
導で堅調を維持すると予想される。 
②輸出  海外景気の減速やIT関連財の在庫調整に伴い、輸出は減速している。当面、こうし
た状況が続くだろう。もっとも、海外景気の減速度合いが緩やかなものにとどまるこ
とが予想されるため、輸出が減少トレンドに転じることは避けられる見込み。 
③生産  輸出が減速していることに加え、エコカー補助金終了に伴って自動車で大幅減産が実
施されていることを背景に、生産は減少している。2010 年 10-12 月期の生産は大幅
な減産の見込み。 
④企業収益  生産活動の減速に伴って、企業収益の改善ペースが鈍化している。当面、生産の弱含
みが続くことに加え、円高の悪影響もあり、増益率の縮小が続くだろう。 
⑤設備投資  これまでの企業収益の回復や稼働率の持ち直しに伴って、製造業を中心に設備投資は
持ち直している。もっとも、足元では生産活動の減速から企業収益の伸びが鈍化して
いることに加え、景気の先行き不透明感の強まり等が企業の投資マインドを冷やす可
能性があり、設備投資の回復ペースは緩慢なものにとどまる見込み。 
⑥雇用・賃金  これまでの景気回復の影響が波及することで、雇用や所得は悪化に歯止めがかかって
いる。先行きは緩やかな回復が期待できるだろう。もっとも、売上高の水準が低い中
で雇用過剰感が残存することや、景気の先行き不透明感の強まりから、回復ペースは
緩慢なものにとどまると予想される。 
⑦個人消費  エコカー補助金終了に伴う自動車販売の大幅減少や、たばこ値上げに伴う販売減等に
よって、10-12 月期の個人消費は減少している。先行きについても、雇用・所得の持
ち直しペースが緩やかなものにとどまるなか、2011 年3月にはエコポイント制度の
終了が予定されていることもあり、個人消費は低迷が続く可能性が高い。 
⑧住宅投資  在庫調整の進展や各種住宅取得支援制度の効果、雇用・所得環境が最悪期を脱したこ
となどを背景に、住宅着工は緩やかに持ち直している。当面、回復傾向が続くだろう。
⑨公共投資  2010 年度当初予算で公共事業関係費が大きく削減されていることから、減少基調が続
いている。先行きについては、補正予算で積み増された公共投資が実行に移されるこ
とから、2011 年春には一時的に下げ止まる可能性が高い。 
⑩物価  景気悪化に由来する物価下押し圧力が根強く残っており、物価下落が続いている。先
行き、下落幅は緩やかに縮小することが見込まれるが、需給ギャップは依然大きいこ
とから、当面プラス転化は見込まれない。