私たち日本国民の年金積立金は現在100兆円を超えていますが、2004年から取り崩しが始まっています。厚生労働省は、2000年以降の経済状況が続いた場合、2031年に積立金が枯渇すると予測しました。ハリー S デントによると、人口動態統計からみると2020年に入ってから年金制度を支えられなくなり国家デフォルトに至る可能性があります。年金積立金の推移について、厚生労働省の資料から下記図を作成しました。
この過程はまさに一国の成長そのものです。第二次世界大戦中の産めよ増やせよ運動により、団塊世代が誕生しました。人口統計的観点からいえば、1949年の400万人の出生が、1989年のバブルを生みだし、2004年の年金積立金のピークを生みだし、2030年の大量死社会を生み出したのです。明治維新により近代化を達成して世界の列強に伍した日本という国家の終結がこれからやってくるわけです。人口サイクルからいえば、1949年までが坂の上の雲を目指した時代であり、1989年が雲の上に到達した時代であり、以降は下り坂の時代であるといえます。明治維新によって作られた近代国家日本の繁栄は、1949年のベビーブームにより1989年のバブル経済を生みだし、そして人口サイクルの下落により終焉を迎えます。まさにこの日本の繁栄と衰退のモデルは、国家の繁栄と衰退のロールモデルです。人口サイクルこそ、国家の発展と衰退のモデルであり、まさに日本は今逃れられない衰退の運命の中にいる訳です。
永遠に成長を続ける人などいません、人口動態こそ国家の設計図です。人と同じく、人口動態が高齢化して大量死時代に突入すれば、国家も同じ運命をたどるのです。


pension