さて、みなさん元気でしょうか。日経平均が暴落するという刺激的なタイトルですが、まさに今、日経平均が暴落することが、サイクル理論から予測できるのです。
 私は2010年からこのブログを運営しており、サイクル理論による分析で、2012年の日経平均の底を見事に的中させた実績があります。今回もほぼ的中するでしょう。なぜならば、日本は停滞時代ですから、サイクルの下落トレンドに逆らって株価が上昇することはまずないのです。

 まず下記のグラフから説明しましょう。下図の上段はエドワード・デューイという「サイクルの科学」という著書を著した19世紀のアナリストが考案した9年サイクルの推移です。デューイは、時系列データの9年移動平均から、40か月移動平均を引いたものを、9年サイクルとしてプロットし、ダウ平均株価に見事な9年単位の規則性があることを発見したのでした。

 もともと経済変動には、ジュグラーサイクルという約9年スパンのサイクルがあります。経済学の教科書ではジュグラーサイクルと呼ばれるものですが、高度経済成長の時代には、株価や物価が下落することがほとんどなかったためこのサイクルは軽視されていました。しかしながら、停滞時代に入ると、このサイクル理論は相場の行方を予測するのに見事な威力を発揮するようになります。
 
 上段の9年サイクルは、株価の動きと一致させるため、約1年ほど時間軸を前にずらしてありますが、9年サイクルから見ても株価がピークをつける時期に来ていることがわかります。

 また、最下段は株価の対前年比です。エドワード・デューイは対前年比をもってキチンサイクルという約40か月スパンのサイクルを描きました。キチンサイクルとは、ジュグラーサイクルよりも下位のサイクルであり、キチンサイクル3つでジュグラーサイクルを構成します。このキチンサイクルもアベノミクス開始から2つ目になったのですが、とうとうピークアウトの兆候が見えてきました。対前年比で見ると、株価はもう峠を越した可能性が高いです。

 最後に中段には、日経平均株価のチャートを示しています。トレードステーションでチャートを作成しているのですが、このチャートには2つの重要な指標を忍ばせてあります。一つ目の指標ですが、トレードステーションのペイントバーという機能を用い、MACDグラディアントをチャートに挿入しており、MACDが強いときは赤、弱いときは青で、チャートの足を塗り分けています。直近のチャートが過熱していることが、色で確かめられます。

 2つ目の指標は、このブログで何度も使用しているTDインディケーターのTDセットアップです。月足チャートでは感応度が低くなるため、TDシーケンシャルのカウントダウンまではなかなか発現しません。その代わりに、TDセットアップという、4本前の終値を9回上抜いたときに天井を打つというTDシーケンシャルのセットアップ条件を用いて天井を判断できます。下図の黄色い点がTDセットアップです。過去には、TDセットアップが何度も天井となっていることがお分かりいただけると思います。今回も、テクニカル的にはすでに過熱圏に突入しているということです。もうほとんど上値は追えません。


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 次に、サイクル理論から分析しても、やはり日経平均がピークであるということがわかります。バブル崩壊以降の日経平均の9年サイクルは、過去に1986年から1992年までのサイクル、1992年から2003年までのサイクル、2003年から2012年までのサイクルと3回ほど繰り返してきました。今回は、2012年からの4回目のサイクルですが、過去の3つのサイクルと起点を一致させて比較したのが、下図です。ちなみに、この方法で私は2012年の日経平均の底を的中させています。

 9年サイクルのスパンで見ても、すでに日経平均はピークであることがわかります。景気循環理論の点から見ても、もはや株価は上げようがないのです。

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 更に、MCADを使用した分析をしてみましょう。下図は、日経平均の週足チャートです。下段にMACDを描いています。MACDの先行線が黄色で、遅行線がシアン色です。一般的には、MACDの先行線が遅行線を追い抜いた時点を、売り買いのシグナルとします。今回、ちょうど、先行線が遅行線を下抜けて、売りシグナルが出そうな気配です。
 また、先行線と遅行線の差分(ディヒュージョン)も、私は重視しており、この差分は下図の赤いペイントされたエリアになります。差分が減り始めたら、前述の売りシグナルよりも早い段階で、売りシグナルとなります。この差分が着実に減ってきています。
 先行線と遅行線の水準も2013年のピークに及ばず、モメンタムの低下が一目瞭然であり、いつ暴落に転じてもおかしくありません。

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 最後に、上海総合指数の7/19までのチャートを下記に記載します。下記の上図が、上海総合指数の日足チャートであり、下図が月足チャートです。上図の日足チャートをみると、中国当局が無理矢理、株価をねじ上げたのがよくわかりますが、長期の流れでみると、この暴落を止めることはできません。
 下図の月足チャートを見ればわかるとおり、一度崩れたトレンドを取り戻すことは、相場力学的に不可能です。このまま、暴落が継続するでしょう。
 そして大事なのは、上海が世界に波及しないというマスメディアの楽観論は大ウソであるということです。上海総合指数の暴落は、日経平均の暴落へつながり、ひいては米国ダウ平均暴落へ続いていきます。最終的には、株価も債権も信用できない時代となり、金価格が再び暴騰していくのです。


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 TDシーケンシャルは非常に難解ですが、とても有用なツールです。トレードステーションで用いているTDシーケンシャルのEasy Languageプログラムコードについては、人数限定かつ有料で下記で公開しています。

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ドル暴落から、世界不況が始まる
リチャード・ダンカン
日本経済新聞社
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